少年シニア 自由形で生きる

人生の最終章を少年に戻って自由形で生きる事に決めた男が出会った風景・言葉・芸術・人

まど・みちおさんのような芯があって可愛い爺さんになりたい

 

絵をかいていちんち―まど・みちお100歳の画集  絵をかいていちんち  まど・みちお 2011年8月刊 新潮社

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 今年104歳で亡くなられ、「象さん」や「一年生になったら」などで有名な、詩人まど・みちおさんは、画人でもありました。まどさんは50歳をすぎて抽象画を描くようになりました。曰く「言葉の意味や読みから自由になって、この世にひとつきりの自分だけの世界を描きたいと思った」そうです。

勤められていた出版社をやめ独立された頃ですから、自分の世界への渇望というお気持ちは何となくわかります。その5年後、55歳のときに最初の詩集を出されるのですが、その間に130点もの絵を描かれました。その絵を100歳になったまどさんが、記憶を辿りつつ1点1点解説されているのですが、これがなかなか軽妙で面白い。

例えば「はる」とつけた題の画に対して。

ミミズみたいな形の上が下に向かって直線が入っとりますね。こういうところにわたしは引力を感じます。ああ引力のようなものを描きたかったのかも知れません。引力というのは一種の愛ですから。ヒトは地球に 地球は太陽にひっぱられ、太陽は宇宙につながっているわけですからね

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 そして後半は100歳前後になって介護付の病院で書き始められたという、より抽象的な絵が掲載されています。まどさんは💗の形が好きで、かなりの数の💗をアレンジしたものが多いです。そしてその絵には不思議なコメントがつけ添えられています。

こりゃ何か?オレもワカラン へへ フフ 山田のカカシか一本松の センヌキもアル? ビール? とにかくつるつる紙の字がかけん。いいかげん。何が何やら。

本当に不思議な感覚ですが、実にチャーミングな人だと思います。

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  生涯表現者というのは、まどさんのような人のことを言うのでしょうね。暴走老人とは対極にあるまどさんの飄々としつつも芯の通った自立した姿。先日掲載した堀文子さんとは全くキャラは違いますが、私はシニアが目指すもう一方の理想の姿をまどさんに見ます。まどさんは、背伸びをすることなく、でも誠実に自分の好きなことを積み重ねていった人だと思います。

 私みたいに、あと1年か2年にすぎない人間の言うことを、いくらかでも参考にしてくださるならばうれしいものですが、みなさん本当に好きなことをなさればいいと思うのであります。   (百歳日記より)

好きなことを貫くのは、そうたやすいことではありませんが、人生の最終章にはいったら迷わずまどさんの言葉をたよりとして、好きなことをやればいいのではないでしょうか。