少年シニア 自由形で生きる

人生の最終章を少年に戻って自由形で生きる事に決めた男が出会った風景・言葉・芸術・人

ときめく映画 「三十四丁目の奇跡」

三十四丁目の奇跡 [DVD] FRT-081

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 見ていて浮き浮きするかどうかは、カラーだろうが白黒だろうが関係ないんだなと思えた白黒映画の佳作でした。(カラー版やカラーのリメイク版も出ています)

1947年の上映ですからもう70年近く前の映画なんですが、全く古びた感じがありません。米国社会の勢いのある様子が伝わってきます。

ただ、この当時から米国では売上至上主義・現実主義がはびこってクリスマスでさえも、年末商戦の道具に成り下がっていたようです。

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 老人ホームに住み自分はサンタであると信じこんでるクリングルは、上っ面だけのクリスマスパレードやイベントに我慢がなりませんでした。

酒に酔っぱらってヤル気のないサンタ役の男を叱りつけ、運営元の百貨店メイシーズの責任者のドリスに抗議します。

それではとドリスは酔っ払いのサンタ役の男を解雇してクリングルをサンタ役として雇うことにしました。

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 これが百貨店メイシーズに大きな利益をもたらしました。

クリングルは自分をサンタと心底信じているため、そのサンタ役は真心がこもっており、メイシーズに来店する子どもたちの心をしっかりと掴みました。

そのうえ、子どもたちが欲しがっているおもちゃがメイシーズにない場合は、ライバルの百貨店に在庫があると薦めました。

これによりメイシーズは誠意のある百貨店としてお客の熱烈な支持を得て、かえって大きな利益をもたらすようになります。ライバル店も同様の営業戦略をとり、お客のための百貨店として双方が協力関係を結ぶように変わったのです。

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 一方彼を雇ったドリスは超現実主義者で、こどものスーザンにもサンタなんていないことを明言して、スーザンも夢のない子供になっていました。

同じアパートに住み密かにドリスに想いを寄せる理想家の青年弁護士のフレッドは、何とかこの夢のない親子に夢を与えようとしますがなかなかうまくいきません。そこでフレッドはクリングルを自分の部屋に泊めて協力を求めました。

そしてドリス親子もクリングルに接していくうちに、次第に信じる心の大切さや素敵さを感じて本当にサンタはいるかもしれないと思うようになってきました。

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 ところがクリングルに敵意をもつメイシーズの顧問心理学者の無慈悲な態度に腹をたてて殴ってしまうと、社会への危険人物として裁判にかけられてしまいます。

フレッドは弁護役を引き受けサンタを主張するクリングルを救おうとし世間の支持を得ますが、決めてがなく裁判は不利な展開で進んでいきます。

はたしてクリングルはサンタとして認められ裁判に勝てるのでしょうか。

ドリス親子とフレッドのその後はどうなるのでしょうか。

そしてクリングルは本当のサンタクロースなのかでしょうか

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 ミヒャエル・エンデが描いた「モモ」は時間を金で換算し、効率化とストックばかりを求める社会に警鐘を鳴らしましたが、この映画も夢を切り捨てて目の前の利益になる現実ばかりに目を向ける社会や個人のありように警鐘を鳴らしました。

そもそも我々は何を願って生きているのか、そのために我々はどう自分をつくりあげ、社会との接点をどう関係づけていけばいいのか。思考停止にならずに考える必要がありそうです。

本映画で、グリングルを演じたエドマンド・グウェンはアカデミー助演賞を獲得したのですが、グリンゾンは主役だと思い込んでいたので助演賞に違和感を覚えました。

でも納得しました。ここでもサンタは、主役を人に譲り、自分は人の幸せを支える助演なのだということで主演賞を辞退したのかも知れません。