読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

少年シニア 自由形で生きる

人生の最終章を少年に戻って自由形で生きる事に決めた男が出会った風景・言葉・芸術・人

ときめく映画 「ヒューゴの不思議な発明」 

ヒューゴの不思議な発明 [DVD]

            ⏰   ⏰   ⏰   ⏰

 昼に、たまたまCSチャンネル「ザ・シネマHD」をつけたら、丁度この映画が始まるところだったので、恐らくこれは運命の出会いだと思って観ることにしました。出だしのパリの街並みの撮り方が凄く素敵で、こりゃ絶対面白いと期待しましたが、予想以上の素晴らしさで本当ラッキーでした。テーマとしてはよくある人間の再生の物語なんですが、観た後にこんな爽やかな気分になれる映画は稀です。

            ⏰   ⏰   ⏰   ⏰

 舞台はパリ。時代は1930年代。主人公の少年ヒューゴは両親を亡くし、今はリヨン駅の時計台の中に身を寄せています。食事などは、警官の眼を盗んでは駅で売られているものを失敬して毎日をかろうじて生きているのです。

ヒューゴにはとても大切なものがありました。父親が残した壊れた機械じかけの人形です。これを修理すれば、父親が彼に遺したメッセージがわかると信じ込んで、駅にある小さなおもちゃ屋から部品をくすねて修理するのが彼の日課でした。ところが、ついに現行犯で店主に捕まってしまいます。

しかしこのおもちゃ屋の御爺さんとの出会いが二人の運命を変えます。この御爺さん、一見怖そうですがそう悪い人でもなさそう。どうも正体不明で謎めいているのですが、ひょんなことから少年の父親とこの御爺さんの過去が結びついてくるのです。

ヒューゴは御爺さんの幼女のイザベルと知り合い、彼女とともにその謎を解くべく動き出し、次第に真相が明らかになっていきます。

             ⏰   ⏰   ⏰   ⏰

 登場人物一人一人が実に魅力的です。中心人物はもとより、少年にとっては天敵の公安官でさえも、職務に忠実で単純なだけであって、戦争で苦労もし恋に悩む愛すべき男です。ヒューゴとそのガールフレンドを温かくサポートする図書館の御爺さんも粋です。カフェに犬を連れてやってくる御婆さんを目当てにやってくる小太りのおやじさんなども愛嬌があります。こうして丁寧に人物を描いているのがよく伝わってきてほのぼのした気持ちで映画を楽しめるのです。

 それとこの映画は3D映像で撮られているようで、時計台の中の様子や蒸気機関車の映像が実に迫力をもって伝わってきます。レトロな1930年代のパリの街並みと3Dの立体映像が見事に調和して映画を堪能できます。

             ⏰   ⏰   ⏰   ⏰

 この映画の面白さは、少年と父親を結びつける機械人形の再生が、修理屋の御爺さんの人生の再生、ひいては映画文化の再生に発展していくところにあります。個人の再生にとどまらないところに、この映画の奥の深さを感じますし、監督の映画に対する深い敬愛の念が伝わってくるのです。

 先日テレビで、図書館で使い込まれたため折丁がほどけてバラバラになった本を再度手作業で製本し直す年配のボランティアの方が紹介されていました。子供達にも月1回その作業を教えておられるということで、本の再生に尽力されていることに感動しました。

 古くても大切なものは丁寧に扱い、必要に応じて修理する。これは機械でも物でも生き物でも同じ。そんなことを感じながら自分の衰えゆく身体やカミサンも大切にしなければと柄にもないことを思った私でした。

 

 *今月12日 24日 25日 28日 ザ・シネマ(452)で再放送があるようです。