少年シニア 自由形で生きる

人生の最終章を少年に戻って自由形で生きる事に決めた男が出会った風景・言葉・芸術・人

無駄なこと しなければならないこと

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 5年前に会社員をやめて、何が一番うれしかったと問われれば、あの地獄のような

朝晩のラッシュから開放されたことだ。私は小田急線で通勤していたが、特に都内

に出る時の小田急線の混み具合は尋常ではなかった。朝から押した押さないで喧嘩

にも時々遭遇してうんざりして会社へ向かったことも1、2日ではなかった。

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 それともうひとつは、無意味な仕事を求められることがなくなったことである。

会社自体は各人に無意味な仕事や仕事の仕方を再考しろと号令をかけていたが、む

しろ意味のない、また中身の薄いプロジェクトや研修など自分の仕事に専念できな

い仕事を用意していたのは会社や部門の方であることが多かった。人が多くなるに

つれて情報共有のための会議や打ち合わせが多くなり、その資料づくりのために時

間がさかれるということも発生する。

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 報連相の必要性をとくコンサルタントもいるが、それもいきすぎると自分の本来

の業務ができなくなる。今、教師の多忙さが話題になっているが、教師が本来しな

くてもいい仕事を命じられたり、せざるをえない状況がかなりあるようだ。

給食代などの督促など完全無料化して支払いの督促など気がめいる仕事を減らして

あげればと思うし、そうした学校内に法務に詳しい元会社員を雇って、彼らにそう

いう仕事も含めて学校内の家族側とのトラブルに対応してもらえればいいと思う。

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 そして組織というものは、コストを減らすことには熱心だが、コストをかけても

本来すべきなのにしていないことについては、あまり関心を示さない点がある。

昨今見られる業界のずさんな品質検査やデータ改ざんはまさにそれにあたる。

ゴーン氏が日産に乗り込んで品質管理を簡素化したり、コストは高いがいい品質を

提供する取引先と関係をたったりとコストを大幅にカットして、経営的な数字は改

善されたが、品質は劣化し品質に関する信頼感を落としてしまった。そんな中でゴ

ーン氏は経営数字をあげたとして莫大な報酬を手にした。こんなゴーン氏は果たし

て名経営者といえるのか。私にはいささか疑問だ。

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 自分が不要だと思う仕事からの解放や必要と思ったことがなかなかできなかった

会社時代から身をひいて思うのは、その背景には数字のこわさがあるということだ。

数値管理、見える化は確かに大切だが、それが最上位にくると必ずといって問題が

生じるのだ。目標に達したか達しなかっただけに関心が言って、本来の仕事の意義

を実感できなくなってしまう。

いま、私にはそうした無意味な数字目標は学校から求められていない。死ぬまで日

本語教師をして1000人以上の留学生を教えたいという数値目標はあるが、これはあ

くまで個人目標であり、目標はあくまで「わかりやすく楽しい授業をしたい」それ

だけが今の私をつき動かしているのだ。そのために授業のあとにうまくいかなかっ

た点は次回はどう改善していけばいいかを考え、期末の最後の授業時には自ら用紙

を配付して授業の感想を学生に書いてもらっている。

これは誰に命じられたことではないし自分を学校に評価してもらうためでもないの

で全く苦にならず、むしろ学生からのメッセージを宝物にしている、               

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 それはさておき過度なコストカットで品質の低下をもたらし、ある面では形づく

りのための不要な仕事をつくりだし本来の仕事を疎かにしている現状が、今の日本

の品質神話に影を落としていると思う。何が無駄で、何が必要か、つねに自問しな

がら、基本は時間・お金という限られた制約のなかで、顧客のためになにができ

るかを考えることが日本再生の第一歩だと思う。