少年シニア 自由形で生きる

人生の最終章を少年に戻って自由形で生きる事に決めた男が出会った風景・言葉・芸術・人

唯一無二の者などいない(ゴーン氏の逮捕から)

  前回のブログで日産のゴーン氏の経営手法について触れたが、何とそのゴーン

氏が金融取引法違反で逮捕された。自らの報酬額を半分に申告し、高額な家族旅

行など私用の費用まで会社に負担させていたという。あいた口がふさがらない。

                 

 ゴーン氏によってリストラされたり過度なコストダウンを要求された取引先の

人達はこの事態をどんな気持ちで受け止めているか、さぞ無念とやり場のない憤

りにかられていることだろう。あまりに悪質で信頼を裏切る行為だ。

私はこの背景に「唯一無二」という考えがあると思う。この人は、組織にとって

日産の危機を救った唯一無二の人だから、多少のことは許されるという周りの甘

い対応が、ゴーン氏を増長させたのではないか。

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 正直、これだけ技術が向上し教育が普及した社会の中で、この人がいなければ

成り立たないものなどいない。例えばビルゲイツ氏やジョブス氏がいなくても、

時代の流れで今のようなIT社会は到来していただろう。彼らがいたことで、そ

の時期が早まっただけだ。

以前、某有名芸人が不祥事をおこしたとき、「彼のような才能をもつ芸人は外に

いない。彼をこれくらいの不祥事で芸能界から失うのは損失だ」という人がいた。

結局その芸人は常識にそって解雇され芸能界を去ったが、彼のかわりはいくらで

もいる。こうした唯一無二として神格化することの怖さは、人が集まると必ずお

きてくる。

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 五木寛之氏のいうように、我々は大自然からすれば大河の一滴にすぎない。

常にそうした謙虚な気持ちをもてれば、勘違いすることもないだろうし、他人に

対しても神格化することもない。以前小泉元首相が「政治家は使いすてられるも

の」と言ったが、全くその通りだと思う。ゴーン氏は日産の危機を救った時点で、

日産から離れルノーに戻るべきだった。

そうすれば、こんな悪質なことをせず、救世主としての名誉を勝ち取ることがで

きたかもしれない。結局彼にとって名誉より金が大切だったのだ。

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 ただ、疑問に思うのは、あれだけの報酬をうけとりながら、さらに数字をごま

かしたり会社の資産を私物化するリスクを冒してまで、その金で彼は何をしよう

としていたのだろうか。そこがよくわからない。お金の使い方を見ればその人の

本性がわかるというが、どうなのだろうか。金の魔力は恐ろしい。

いずれにしても権力は必ず腐敗する。その怖さを知っている者は、自分の使命が

終われば、自らその地位をすっぱりのく。本田宗一郎氏や小倉昌男氏のように。

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 権力の集中や長期支配の弊害をとくマスコミ各社の多くが、Ý新聞をはじめ長

期にわたり権力者が老害ぶりを発揮し、忖度する取り巻きたちがガードを固めて

いるのは皮肉なものだとしかいいようがない。

権力をチェックし糾弾する新聞社やテレビや出版社などが、自分の会社の権力者

には尻尾をふっていたとしたら、それはジャーナリストとはいえないだろう。

今回のゴーン氏の凋落をみて、また組織の在り方、権力の行使の在り方につい

て考えさせられてしまった。