少年シニア 自由形で生きる

人生の最終章を少年に戻って自由形で生きる事に決めた男が出会った風景・言葉・芸術・人

今だからこそ忘れてはいけない歌「防人の歌」

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 昨年、読売新聞で「昭和」「平成」を代表とする歌は何かというアンケート結果がのっていた。その時思ったのは、歌の評価は世代間格差や個人差がよくあらわれるということだった。昭和では美空ひばりの歌がトップ10に4曲。平成はミスターチュルドレンの歌が3曲はいっていた。意外だったのは「谷村新司」や「さだまさし」の曲がひとつもはいっていないことだった。私は両氏の歌には髙い共感性があるので、もっと評価が高いと思っていた。

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 私自身の個人的な意見としては、昭和の名曲のひとつとして、さだまさしの「防人の歌」をあげたい。この歌は、日露戦争を題材にした「二百三高地」の主題歌として世に出た。この映画自体、戦争を美化しているという風評もあったが、私は決してそう思わなかった。それよりも国家という巨大な存在の意志決定で人の心は狂い、多くの人が死に到るというやりきれない現実を伝える反戦映画だと感じた。そしてそれはこの主題歌「防人の歌」を聴けば、おのずと理解できる。今、歌は個人の幸福をうたう歌ばかりで、このような世界の平和を問うような歌はなくなってしまった。以前、アメリカの「花はどこへいった」のような反戦歌が人々に大きな共感をもって受け入れられたが、時代の流れとともに姿を消してしまった。しかし、世界を見渡せば、戦争の脅威が減退しているわけではなく、むしろ現在のような内向きな展開の中で、いつかどこかで自分の国家や組織・イデオロギーを守るという名目で戦争が訪れる懸念は増加していると思う

自分の

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 そんな時代だからこそ、今一度「防人の歌」に耳を傾けることに意味があると感じている。今もロシアとウクライナは対立し今後も紛争の火種として懸念されているが、数十年前旧ソビエトウクライナチェルノブイリで被災して日本にやってきたウクライナの歌手ナターシャ・グジーが「防人の歌」を歌っているのも、この歌の歌詞に共鳴し、この歌を通じて国家の意志決定の恐さ、無情さを世に問いかけているのではないだろうか。



防人の詩 ナターシャ・グジー / Sakimori no Uta by Nataliya Gudziy